夜尿症

夜尿症とは?

夜尿とは夜間の睡眠中に無意識のうちに排尿することです。
5歳では5人に一人、小学校低学年では10%、高学年では5%に認めます。
学校の宿泊行事を前に心配して医療機関を受診することが多いようです。
夜尿症は自然に治りますが、短期間で解決することはなく早くて半年、平均2~3年かかります。

夜尿症の分類

A.経過より分類
生来、夜尿症が続いている一次性夜尿症と夜尿が消失した時期を持つ二次性夜尿症があります。原因として排尿機能未熟、睡眠障害、心理的要因、夜間多尿、その他が考えられます。

B.原因別の分類
イ)排尿機能未熟型
膀胱が小さく発達過程にあるため、十分に尿をためられない状態です。
通常、がまん可能な最大膀胱容量は、小学校1年生で150cc以上、2年生で200cc以上、3年生で250㏄以上と言われています。目安としてこれらの数値より少ない場合は、夜尿症が起きる可能性があります。

ロ)夜間多尿型
夕方から就寝までに水分を過剰に摂取している場合や、夜間の抗利尿ホルモンの分泌が低下している場合です。
夜間の排尿量は小学3年生では200㏄以下、4年生では250㏄以下が正常量といわれています。
夜間の尿量がこれらの数値より多い場合は夜尿になる可能性があります。

ハ)混合型
排尿機能未熟型と夜間多尿型の混合型です。

夜尿症の検査

1:尿検査
早朝第一の尿を持参していただき、尿比重を調べます。比重が1.022以下であれば低張尿と判断し、夜間多尿が夜尿の原因と推定します。
2:超音波検査
膀胱に残尿がないか調べます。膀胱機能に異常があれば残尿があることがあります。腎臓も超音波で観察し、発育異常がないか、水腎症などの形態異常がないか調べます。
3:夜尿日誌の記録
毎日の夜間の排尿状況を記録します。
①夜尿の有無、②夜尿の量、③早朝第一尿の量を記録します。
夜尿の量はおむつの重量から推定します。

夜尿症の治療

1:生活指導
朝、昼は水分は十分に飲んで、夕食後から就寝までは水分を控えます。

就寝前は必ず排尿します。
2:膀胱訓練
帰宅してから夕食まで排尿をがまんします。

尿意があっても5~15分我慢する方法です。
膀胱容量を増やす目的です。
3:薬物療法
・抗利尿ホルモンの点鼻
夕食後の水分制限を厳重に守っていただいた状態で、就寝前に鼻腔に抗利尿ホルモンをスプレーします。抗利尿ホルモンの作用で腎臓からの尿分泌が抑制されて夜尿がおさまります。即効的に夜尿が治ることも多いです。
・抗コリン剤の内服
膀胱の緊張を低下させ、膀胱容量を増やす目的で就寝前に内服します。
・三環系抗うつ剤
就寝前に内服します。同剤は抗利尿ホルモン作用と抗コリン作用を併せ持っているとされています。

宿泊行事に対する対策

 学校の宿泊行事のための夜尿を治したいと希望して受診する子供さんも多いです。
夕食後の水分制限を守ってもらい,抗利尿ホルモンを点鼻することで即効的に夜尿を止められることも多いです。
 点鼻の量を決めたり、副作用の発現がないかチェックするために2週間は必要なので、宿泊行事の最低2週間以前に受診していただく必要があります。

まとめ

夜尿症は成長とともに治ります。あせることはありません。宿泊行事に際して即効的に夜尿を止めたい場合は抗利尿ホルモン剤の点鼻でコントロールできることが多いです。