過活動膀胱

突然起きる我慢できない尿意で、尿を漏らしそうになりませんか?日中のトイレ回数が多すぎたり、夜寝てからトイレに行くために一回以上おきなければならないことはありませんか?もしかすると過活動膀胱という病気かもしれません。

過活動膀胱とは

過活動膀胱は、膀胱が過敏になり、自分の意に反して収縮してしまう病気で、次のような症状が起こります


1.尿意切迫感:急にオシッコがしたくなり、もれそうになる。強い不快感を感じる。
2.昼間頻尿・夜間頻尿:日中のトイレの回数が多すぎる。

  夜寝てからトイレに行くために一回以上おきなければならない。
3.切迫性尿失禁:尿意切迫感とともにオシッコをもらしてしまう。

過活動膀胱の原因は

1:神経系のトラブル
脳卒中や脊髄損傷の後遺症で、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経回路に障害が起きた場合
2:前立腺肥大症
前立腺肥大症により尿道が圧迫されると、尿の出が悪くなるだけでなく、膀胱が過敏になることがあります。
3:骨盤底筋のトラブル
出産や加齢によって、子宮、膀胱、尿道などを支えている骨盤底筋と呼ばれる筋肉が弱くなった場合。
4:それ以外の原因
加齢に伴う影響で、膀胱が過敏になることがあります。
また原因不明の場合も少なくありません。

過活動膀胱の頻度

ある報告によると日本では過活動膀胱の症状を持っている人は年齢とともに増加し、8百万人もいることが判りました。
40歳以上の日本人の8人に1人が、過活動膀胱によって日常生活に支障をきたしていると推定されています。
トイレが心配で外出を控えたり、水分を控えたり、尿失禁や夜間頻尿のため睡眠不足になったりと、生活や健康に障害をきたしています。

過活動膀胱の診断

尿意切迫感を週に1回以上認め、かつ夜間に排尿のため1回以上起きる場合、または日中に8回以上排尿する場合を過活動膀胱と診断します。
過活動膀胱と同様の症状を示す疾患には、膀胱炎、前立腺炎、間質性膀胱炎、腹圧性尿失禁、尿路結石、膀胱腫瘍、子宮内膜症、心因性頻尿などがあります。

これらの疾患を区別するために、尿検査で尿中に細菌や血液が入っていないかどうか調べます。
また膀胱の超音波検査で膀胱に残っている尿(残尿)を測ったり、膀胱に腫瘍がないか調べます。
尿検査で異常を認めず、残尿が50cc以下であれば過活動膀胱と診断します。

過活動膀胱の治療

●薬物療法
抗コリン薬という、膀胱の収縮を抑える作用のある薬を服用します。
このくすりは膀胱の筋肉を緩め、膀胱が勝手に収縮してしまうのを抑えて尿をたくさん貯められるようにします。
最近、膀胱選択性の高い有効な薬が開発され、治療効果が上がっています。
過活動膀胱の尿意切迫感や頻尿などの症状は内服薬でほぼコントロールできるといっても過言ではありません。
副作用は口のかわき、便秘などがあります。
前立腺肥大症の方では排尿困難がひどくなることがあります。
緑内障のある方には使用できない場合があります。

●骨盤底筋体操
膣や肛門を繰り返し閉めたり、緩めたりすることにより、尿道を締める力を強くする運動を骨盤底筋体操といいます。
過活動膀胱でみられる切迫性尿失禁に有効です。
方法は、仰向けになったり、いすに座ったり、テーブルに手を着いて立ったり、どのような体位でもかまわないですが、体の力を抜いて膣と肛門を意識的に閉め、ゆっくり5つ数えてから緩めます。
この動作を20回から30回を1セットとして行います。1日に2から3セットをおこなってください。
骨盤底筋体操は継続して行うことが大切です。
生活習慣の1つとして毎日欠かさずに実行してみましょう。

●電気刺激療法
表面電極を用いて、膀胱や尿道、神経に刺激を与えます。
排尿システムが正常化し治療終了後も効果が持続すると言われています。
干渉低周波治療として保険診療ができます。
週に1から2回の治療を行います。

過活動膀胱は治療できる病気です。
一人で悩まないで治療を受けましょう。