高尿酸血症

高尿酸血症とは?

高尿酸血症とは血清尿酸値が7㎎/dlを超えるものと定義されている。
高尿酸血症は年々増加の一途をたどり、現在では成人男性における20%以上に認め、若年化の傾向を示している。

高尿酸血症に伴う痛風の患者数は60万人以上に達すると推定されている。
 また、高尿酸血症に伴う腎障害は痛風腎と呼ばれ、放置すれば腎不全に陥る。

腎結石が併発することも知られている。
 また、高尿酸血症はメタボリックシンドロームの指標の一つと捉えられ、特に高血圧のある方で高尿酸血症を併発していると、心筋梗塞や脳梗塞が発症しやすいといわれている。

痛風発作とは?

高尿酸血症が続くと、血中の尿酸が針状の結晶となって関節内に付着します。
関節に何らかの刺激が加わると結晶が剥がれ落ち、これを異物と認識した白血球が攻撃して激しい炎症が起きます。

関節が赤く腫れて、はげしい痛みが生じます。
これが痛風発作です。
 痛風発作の7割は足の親指の付け根の関節に生じます。

足首、手首,手指の関節にも起こります。
 高尿酸血症を放置すると痛風発作を繰り返すことになり、尿酸結晶が全身のいたる所に結節として沈着して、関節の変形や、耳介に尿酸の結節をみとめるようになります。

痛風腎とは?

高尿酸血症が続くと、尿酸の結晶が腎臓の実質にも沈着します。
当初は腎臓の髄質と呼ばれる部位(おもに尿の濃縮に関与している部分)に沈着し間質性腎炎と呼ばれる状態になります。
 高尿酸血症を放置しておくと、病変は腎臓の皮質と呼ばれる部分(尿を作る部分)まで及び、腎臓での尿の生成ができなくなり、腎不全の状態に陥ります。
高尿酸血症に併発して、高血圧や高脂血症があると、腎臓の動脈硬化がすすみ、腎臓の血流低下をきたし、さらに腎機能の低下を招きます。
 この様に、尿酸結晶の沈着と、動脈硬化の二つの要素がお互いに痛風腎を発症させていると考えられます。

痛風結石とは?

高尿酸血症の場合、尿酸や蓚酸カルシュウムを主成分とした腎結石を生じやすいことが知られている。
 尿中に高濃度の尿酸が排泄されると、尿酸結晶が析出して、尿路(腎杯もしくは尿細管)で、ある物質を核として結石をつくると考えられる。
 高尿酸血症を放置すると、腎杯の複数の箇所で結石をつくることになる。
結石には細菌が付着しやすく、尿路感染症を起こしやすくなる、腎臓での尿路感染症は腎盂腎炎と呼ばれ、炎症性の瘢痕を腎実質に形成し、腎機能の低下を来すと思われる。
 腎結石が尿管に落下すれば尿管結石症をきたし、疝痛や、血尿をきたすことは、しばしば経験される。

高尿酸血症の管理

1.過食、高プリン、高脂肪、高タンパク質食の是正。
常習飲酒、運動不足などの生活習慣の是正。

2.食事で注意すべきなのは、プリン体の取りすぎです。
プリン体は体内で分解されると尿酸に変わる物質で、動物の内臓や魚の干物、白子などに多く含まれています。
ビールもプリン体を多く含み注意が必要です。

アルコールの中では焼酎がプリン体含有が一番少ないので、焼酎の水割りがお勧めです。
とはいえアルコールノ摂りすぎは避けるべきです。

3.痛風関節炎を繰り返したり、結石を認める方は、薬物療法の対象となり血清尿酸値を6.0㎎/dl以下に維持することが望ましい。

4.腎障害や、尿路結石のある方は、尿酸生成抑制剤(アロプリノール)を使用する。

アロプリノールの代謝物が腎機能障害をきたすので、腎機能に応じて減量する必要がある。

5.新たな尿酸生成抑制剤(フェブキソスッタト)は、中程度までの腎機能低下した方では腎機能に応じた減量は不要であるが、高度の腎機能低下の方に投与可能かは不明である。

6.尿酸排泄促進剤(ベンズブロマロン)の尿酸低下作用は強力であるが、使用の際は、尿路結石の発生に注意し、尿アルカリ化剤(ウラリット)を併用し、尿のpHを6.0~6.5に保つようにする。

7.痛風発作で関節炎の際に、消炎鎮痛剤の短期大量投与は、腎機能の悪化のリスクが高いため、避けることが望ましい。

副腎皮質ホルモン(プレドニンで15~30mg)を経口投与して関節炎を鎮静化させ、1週間ごとに1/3づつ減量し、3週で中止する方法などが選択肢となる。

まとめ

医療機関で血清尿酸値を測定してもらいましょう。
1回の採血で測定可能です。
腎障害や結石があれば、泌尿器科を受診してください。
関節炎があれば、整形外科を受診してください。
高血圧や、肥満がある場合は、内科を受診してください。