膀胱癌

膀胱癌は早く見つければ予後の良い癌です。血尿のある方は早めに膀胱鏡検査を受けることをお勧めします。

血尿とは

からだのなかで、尿をつくったり(腎臓)貯めたり(膀胱)からだの外に出すときに尿が通る(尿管、尿道)組織に異常があり、ここから出血すると血液が尿に混じり血尿になります。多量に出血すれば目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)になりますが、目に見えない血尿(顕微鏡的血尿)の場合でも病気が存在することがあります。これを調べるのが尿検査です。

血尿が出るときに考えられる病気

尿路感染症、膀胱癌、前立腺肥大症、尿路結石、腎癌、前立腺癌、尿管癌、腎盂腎炎、糸球体腎炎、無症候性腎出血、遊走腎,腎外傷、過激な運動、血液凝固能を抑える薬剤の副作用、腎動静脈婁、腎静脈奇形、原因不明、などです。

膀胱癌とは

日本人にも増え始めています。
膀胱癌は日本人の全悪性腫瘍のうち2%を占め、年間13000人の方が膀胱癌になり、約5000人の方が死亡されています。
60歳以上の方に多く発生しますが、男性は女性に比べて3倍かかる可能性が高く、喫煙者は非喫煙者の2倍かかる可能性が高いと言われています。

【血尿が主な症状】
膀胱癌の初発症状で最も多く見られるのが肉眼的血尿で、それも血尿以外の症状がない無症候的血尿が最も多いといわれています。
排尿のときに痛みや残尿感、頻尿などの症状が全くなく、赤い尿だけが出る場合は要注意といえます。
このような時は膀胱鏡検査で癌がないか確認する必要があります。

【癌が進行すると排尿困難に】  
膀胱癌が進行すると、下腹部に痛みを感じたり、血液の塊や腫瘍のために排尿しずらくなることがあります

【膀胱癌は大きく分けて二種類】  
膀胱の内部は粘膜に覆われています。
その粘膜の表面にだけできる癌は表在性膀胱癌と言って比較的悪性度が低い癌です。
粘膜から膀胱組織に深く入り込んだ癌は浸潤性膀胱癌といって悪性度が高く、転移しやすく治療も難しくなります。

【外科的治療と抗がん剤治療】    
外科的治療には二つの方法があります。
一つは膀胱鏡で観察しながら電気メスで腫瘍を切り取る方法、もうひとつは膀胱全体を摘出する方法です。
後者の場合は尿を貯めるところがなくなるため、尿路変向の手術が必要となります。
抗がん剤治療には、点滴で全身に投与する方法と、膀胱の中に注入する方法があります。
膀胱に流れる動脈に抗がん剤を注入することもあります。
体の外から放射線をかけることもあります。

膀胱癌は早期に発見されれば予後が良い。
早期の膀胱癌は5年生存率は90%以上で予後の良い癌です。

尿検査で異常が見つかった場合は

尿の色がおかしいと感じた場合は、尿検査を受けることをお勧めします。
尿検査で血尿があった場合は、尿路全体(腎、尿感、膀胱、尿道)を調べる必要があります。
排泄性腎盂造影といって造影剤を静脈注射して造影剤が腎、尿管、膀胱に流れたところを捉えてレントゲン撮影し尿路全体に異常がないか調べます。
膀胱癌はレントゲン検査では見つからない場合もありますので膀胱鏡検査は必ず受けてください。
膀胱癌が見つかった場合は癌がどれくらい進展しているかを調べるためCT検査をおこないます。
尿を使った尿細胞診を併用すると、小さな膀胱癌や膀胱鏡では判らない粘膜内の癌も発見できます。

【 膀胱鏡検査は今ではほとんど痛くない検査となりました】
現在では、太さは鉛筆ほどの軟性ファイバーを尿道に入れさらに膀胱まで進めて膀胱内を観察します。
昔は棒状の硬いまっすぐな硬性鏡しかなく、痛みの強い検査で検査後も数日間は排尿痛が残りました。
現在では細くて軟らかく、自由に曲がる素材になっており、検査時の痛みや検査後の不快感はなくなりました。
所見もデジタルカメラで撮影し明瞭な画像として記録することができます。
安心して膀胱鏡検査を受けてください。