アトピー性皮膚炎の軟膏治療

Ⅰ:アトピー性皮膚炎はなぜおきる?

乾燥肌の素因がある
 アトピー性皮膚炎では、皮膚の表面を覆う皮脂膜の働きが弱いために皮膚の水分が蒸発しやすい乾燥肌の体質があります。
敏感肌です
 乾燥肌になると、汗や汚れなどの様々な刺激や、ダニなどのアレルゲンが皮膚の表面を通過しやすく、それらによる皮膚炎を起こしやすくなります。敏感肌となります。
湿疹の反復と悪化を繰り返します
 一度皮膚炎が起きると、その部分の皮膚はこれまでなら大丈夫だった衣類との摩擦など、より軽微な刺激にますます敏感に反応して、一段と皮膚炎を起こしやすくなったり、痒いところをひっかくことで皮膚炎がさらに悪化したり、範囲が広がったり、といった悪循環が起こり、皮膚炎が慢性化して治りにくくなっていきます。

Ⅱ:アトピー性皮膚炎の軟膏治療

 湿 剤
 アトピー性皮膚炎の対する塗り薬の主役は、皮膚に脂分と水分を補って乾燥肌にうるおいを与え、皮膚炎を予防する保湿剤です。
ステロイド剤 免疫抑制剤(プロトピック)
 皮膚の炎症を鎮圧することで、無用な皮膚の過敏さとかゆみを減らして皮膚炎を改善させると共に、皮膚炎を悪化させる要因を減らすステロイド剤、免疫抑制剤も主役です。
亜鉛華単軟膏
 普通に塗っていてもなかなか治らない慢性化した皮疹やジクジクした皮疹には、ステロイド軟膏を塗ったあとに、亜鉛華単軟膏を重ね塗りすると効果的です

Ⅲ:軟膏の塗り方の実際

 「いつ、何回塗りますか」
風呂上がり数分以内に、1日1回塗ります。1日1回が基本ですが治りにくい場合は、1日に2から3回塗ることがあります。
「なにを塗りますか」
① 先ず、保湿剤を全身に塗ります。悪化している部位にステロイド剤または プロトピックを重ね塗りします。鳥肌のようにざらざらした部位は軽い皮膚炎なので、弱いステロイドをぬります。固くごわごわした部位は薬の吸収が悪いので、強いステロイドを使います。
 普通の治療ではなかなか治らない部位や、ジクジクした湿疹の部位にはステロイドの上に亜鉛華単軟膏を重ね塗りをします。プロトピックは顔や首の病変に有効です。
② 保湿剤とステロイド軟こうが混合された塗り薬が処方されることもよくありま す。この場合も混合された塗り薬を全身に塗ります。重ね塗りの手間が省け、短時間で塗ることができます。治療の継続が容易です。
「どのように塗りますか」
 皮膚のしわの方向に沿って、皮膚の流れの方向に塗ります。擦り込む必要はなく、指や手のひらで薄くのばすようにします。
「どれくらいの期間塗りますか」
 皮膚の湿疹が完全になくなるまで、2週間以上つづけます。皮膚の赤みやかゆみがなくなっても炎症が治まっていない場合があります。炎症が治まっていない時に軟膏を塗るのをやめると、湿疹がすぐに再発します。
 皮膚を触った時に盛り上がっているプツプツが完全になくなるまで続けます。健康な皮膚と触感が同じになるまで続けます。
「どれくらいの量を塗りますか」
 十分な量を使用しないと皮膚の炎症が完全に収まらず、再発したり難治性なります。成人の人差し指の指腹側の末節部の長さに絞り出した量を1Finger. Tip Unit(1FTU)と呼びますが、1FTUの軟膏を大人の手のひら2枚分の面積に塗りましょう。
「よくなった状態を維持するには」
 ステロイドは使用せず、保湿剤を用いてスキンケアをします。保湿剤は皮膚の健康を守るサプリメントととらえて積極的に使用してください

Ⅳ:悪化させないための日常生活の心得

 悪化因子として、春や秋の花粉、夏の発汗や細菌感染、冬の乾燥、化粧品,感冒や疲労、精神的ストレス,搔破癖などがあげられます。これらの悪化因子を避け対処するライフスタイルを心がけることが大切です。