副腎は腎臓の上方に位置し、長さ3~4cm、幅1cm、厚さ3~4mmの平べったい黄色の臓器です。 左右に一個づつあります。 血圧維持をつかさどるアルドステロン、カテコールアミン、ストレスに対応するコルチゾール等の種々のホルモンを分泌しています。 |
副腎から分泌されたアルドステロンは腎臓の尿細管に作用して尿中のナトリウムを再吸収し、尿中にカリウムを排泄させます。
ナトリウムが再吸収されることにより血中のナトリウム濃度が高くなり、体はナトリウムを薄めるため血中に水分を吸い込むことになります。
血中に水分が多く吸い込まれた結果、体内を循環する血液の量が増えて血圧は上昇します。
副腎にアルドステロンを分泌する腫瘍が存在するとアルドステロンが過剰となり高血圧が維持されます。
一方、尿中へのカリウム排泄は持続しますので血液内のカリウム値は低下し低カリウム血症となります。
副腎からアルドステロンが過剰に分泌されて高血圧をきたした状態をいいます。 原因として、副腎にアルドステロンを分泌する腫瘍がある場合、また、両側又は一側の副腎の過形成による場合があります。 過剰なアルドステロンは血圧を上昇させるのみならず、心血管系の障害や腎機能障害を起こすといわれています。 |
日本には3500万人の高血圧の患者さんがいると言われていますが、そのうち原発性アルドステロン症により高血圧をきたしている人は3~10%に及ぶと言われています。
次のような高血圧の方は原発性アルドステロン症が疑われます。
① 低カリウム血症(3.5~4mEq/L以下)
② 収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧100mmHg以上
③ 降圧剤を内服しても収縮期血圧130mmHg以上、
拡張期血圧が85mmHg以上
④ 40歳以下で脳血管障害を起こした人
⑤ 高血圧がある人が、CT検査で偶然に副腎腫瘍を指摘された場合
スクリーニングの検査として早朝、安静時の血中アルドステロンおよびレニン活性を測定します。
アルドステロンか高くレニンが低い場合は原発性アルドステロン症が疑われます。
さらにカプトリルという降圧剤を服用していただいて再度アルドステロン測定します。
それでもアルドステロンが高い場合は原発性アルドステロン症と診断されます。
ここまでは開業医レベルで実施可能です。
次のスッテプとして病型、局在診断のため病院で、副腎CT、副腎シンチグラフィー、カテーテル検査による副腎静脈サンプリングを行うことになります。
一側の副腎にアルドステロンを分泌する腫瘍が確認されれば手術で摘出します。
健常な副腎と一緒に摘出します。
副腎は左右両側にありますので一側を摘出しても問題はありません。
過去には側腹部を斜めに切開し肋骨を切除する大手術が必要でしたが、最近では腹腔鏡下副腎摘出術が一般的となっています。患者さんにかかる負担は遥かに軽減されました。
手術は泌尿器科医が担当しています。
尚、手術の適応がない場合はアルドステロン拮抗剤の内服を継続します。
術後、血清カリウム値は速やかに正常化しますが、血圧はゆるやかに低下します。
降圧剤の服用は不要になることが多いです。
ただし高血圧歴が5年以上、本態性高血圧の合併、腎障害合併、アルドステロン拮抗薬に反応しない人の場合は血圧の低下が不良なことがあり降圧剤の服用を続けなければならないこともあります。
それでも高血圧のコントロールは改善します。
まとめ
あなたの高血圧は副腎腫瘍かもしれません。
お近くの医院でアルドステロンを測定してもらいましょう。
若い人で急に血圧が上がった人は要注意。