男性型脱毛症(AGA)

最近、抜け毛が多くなったとか、髪が薄くなったと感じませんか?
もしかすると男性型脱毛症(AGA)かもしれません。早めに治療すると進行を抑えることができます。

男性型脱毛症(AGA)とは?

思春期より後になってから抜け始め、徐々に薄毛が進行してきます。
額の生え際が後退したり、頭頂部の髪が薄くなったりします。
うぶ毛のような細くて短い髪の毛が多くなり、ハリ、コシがなくなってきます。
シャンプーやブラッシングした時の抜け毛や、枕元に残った抜け毛が多くなり気が付くことが多いようです。

男性型脱毛症の原因は

遺伝的要素が強いと言われています。男性ホルモンが作用していることがわかってきました。
毛髪のライフサイクルは、休止期、成長期、退行期があり、退行期に毛髪の軟毛化や脱毛を促進する物質が男性ホルモンであるテストステロンであることが判ってきました。テストステロンが直接作用するのではなく、5アルファ還元酵素の作用でジヒデロテストステロン(DHT)に変換されて、このDHTが毛根に作用して脱毛を促進させます。
一般の方の毛髪の成長期は2から8年といわれていますが、AGAの方の場合数ヶ月から1年といわれています。一般の方では硬くて立派な髪の毛、つまり硬毛の状態が2から8年であるのに、AGAの方は数ヶ月から1年しかもちません。結果的に立派な硬毛が少なくなり髪が薄くなったと感じられます。
前額部と頭頂部においてDHTの作用を受けやすく、この部位での脱毛が進むと考えられます。

男性型脱毛症の治療

内服で治療する薬が2005年12月より発売されました。5アルファ還元酵素の作用を抑制して、脱毛促進物質であるDHTの生産を抑える作用のあるフィナステリド(プロペシア)です。
プロペシア1mgを連日内服すると、まず脱毛が減少し、投与3から6ヶ月で効果が現れ、6ヶ月から12ヶ月で効果が最高に達し、増毛を実感できるようになります。以後は安定状態となります。残念ながら右肩上がりで増毛が続くわけではありません。5年後には効果がやや低下します。内服を中止すると数ヶ月で効果が消失しますが、再開すると再び効果が現れてきます。
プロペシアの効果は使用した方の90%に認められると言われております。
使用開始の時期は、AGAの初期の段階から使用したほうが効果がよいといわれています。
50歳以上の方でも治療効果があり、副作用もなかったと報告されています。
ただ脱毛が進んで、毛包が残っていない場合は効果は期待できません。

プロペシアの問題点

女性の脱毛には効果が期待できません。投与対象は男性のみです。妊娠している方においては胎児の男性器の発育に障害をきたすことがあるので、使用できません。プロペシアを内服している男性が献血する場合は、約1ヶ月の休薬が必要です。プロペシアが含まれる血液が妊婦さんに輸血されるのを防ぐためです。
プロペシアは前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSAの数値を下げます。プロペシアを内服している方がPSAを測定する場合は、数値を2倍して評価する必要があります。
プロペシアはドーピング隠蔽剤として使用禁止リストに指定されています。運動選手に使用する際は注意が必要です。
プロペシアには副作用はなく、投与前後の採血は不要です。飲みあわせで問題となる薬はありません。いつ服用してもかまいません。性欲減退、勃起障害、射精障害などの性的障害が1~2%認められますが重篤なものは在りません。
プロペシアの処方は自由診療です。全額自己負担となります。一ヶ月の治療費が約1万円かかります。経済的負担と治療効果を天秤にかけながら継続するか中止するかを判断することが必要になるでしょう。

プロペシアとの併用治療

●ミノキシジル(リアップ)
ミノキシジルは毛包の細胞分裂を活性化させ、また皮下の血管を拡張させて毛包の増殖活動に影響を与えて発毛を促していると言われています。単独治療で40%の有効率という報告があります。内服のフィナステリド(プロペシア)と外用剤のミノキシジルの併用で相乗効果が期待できるとの報告があります。

●ケトコナゾール(ニゾラール)
真菌治療薬であるケトコナゾールのローションをシャンプーに混ぜて使用したり、頭皮に塗布することでAGAの方の発毛が得られたという報告があります。
50歳以下の方で効果を認めたとのことです。ニゾラールは男性ホルモンの毛根に対する作用を抑制して発毛を促しているのではないかと推測されています。
内服のフィナステリド(プロペシア)と外用のケトコナゾール(ニゾラールローション)の併用で相乗効果が期待できるかもしれません。


男性型脱毛症(AGA)は進行が抑えられるようになりました。
早めのお手当てをお願いします。