タンパク尿は慢性腎臓病(CKD)のサイン

知ってましたか? おしっこは心臓病や脳卒中の危険性を教えてくれます。

Ⅰ:慢性腎臓病(CKD)とは?

腎臓の働きがほんの少し低下した状態を慢性腎臓病(CKD)と呼びます。
CKDの人は普通の人よりも心臓病や脳卒中を2倍おこしやすくなります。
日本人の5人に一人はCKDと言われています。あなたは大丈夫でしょうか?

Ⅱ:慢性腎臓病(CKD)の診断方法

尿タンパクを検査します。
尿タンパク陽性(2+)、(3+)が3カ月以上続く場合にCKDを疑がいます。
さらに採血して血清クレアチニン値を測定し、年齢とクレアチニン値から推定の腎臓機能を評価します。
本来の腎臓機能の60%以下になっている場合に慢性腎臓病(CKD)と診断します。

Ⅲ:CKDの発症原因は?また悪化させる要因は?

・高血圧
・耐糖能異常、糖尿病
・肥満,脂質異常、メタボリックシンドローム(生活習慣病)
・膠原病、全身性感染症
・尿路結石、尿路感染症、前立腺肥大症
・慢性腎臓病の家族歴、低体重出産
・過去の健診での尿所見の異常や腎機能異常、腎臓の形態異常の指摘
・常用薬(特に鎮痛剤)、サプリメントなどの服用歴
・急性腎不全の既往
・喫煙
・高齢
・片腎、委縮した小さい腎臓「いつ、何回塗りますか」

Ⅳ:CKDの発症のメカニズム

腎臓は血液をろ紙でろ過して尿をつくる働きをしています。
ろ紙の役目をしているのが腎臓の糸球体と呼ばれる毛細血管の塊です。
糸球体の血管壁をフィルターとして尿を作っています。
高血圧や糖尿病で動脈硬化が生じた場合、糸球体の血管壁のフィルターとしての機能が低下します。
このときフィルターからタンパクや血液が漏れる結果となり、タンパク尿や血尿が出現します。
フィルター機能が低下すると、腎臓の本来の仕事である老廃物を排泄する機能が低下しします。

この腎臓機能が低下した状態を慢性腎臓病(CKD)と呼びます。
腎臓機能が正常の働きの10%以下になりますと、人工腎臓を使わないと生命の維持はできなくなります。

Ⅴ:CKDはなぜ恐ろしいか

腎臓機能が少しだけ低下しただけでは、何の症状もなく気がつくことはありません。
腎臓機能が低下して尿が出なくなったり、体に水分があふれて「むくみ」がでたり、呼吸困難になるまでは10数年かかります、
知らないでCKDを放置しておくと、人工腎臓が必要な末期の腎臓機能低下になる前に、高血圧や糖尿病のために動脈硬化が進み心筋梗塞や脳梗塞を発症してしまいます。
慢性腎臓病の方で末期の腎臓機能低下になる前に、心筋梗塞や脳梗塞で亡くなる方のほうがはるかに多いといわれています。

Ⅵ:腎臓機能は元に戻りますか?

 糸球体は壊れるともとに戻りにくいため、腎臓病は不治の病と考えられてきました。
しかし腎臓機能低下が50%程度までの比較的早期に発見し、きちんとした治療をうければ、腎臓機能は回復する場合があることがわかってきました。

高血圧のある方は、血圧を130/80mmHg以下にコントロールすることで動脈硬化の進行を予防できます。
尿タンパクを減らすことも可能です。
治療には減塩(食塩1日6グラムまで)につとめ、腎保護作用のある降圧剤(ARBやACE阻害剤)を内服します。
糖尿病の方は厳密な血糖管理で腎機能の低下を予防できす。HbA1Cを6.5%以下に保つようにしましょう。
肥満のある方は減量していただき、BMIを25以下に保ちましょう。BMI=(体重kg)/(身長M)2


コレステロールが高い方はLDコレステロールが 120mg/dl 以下に保ちましょう。


慢性腎臓病(CKD)を早期に発見するために

Ⅰ:尿検査を定期的にうけましょう。
Ⅱ:尿タンパク(+)と言われたら,採血で血清クレアチニン値を
  測ってもらいましょう。
Ⅲ:CKDと診断されたら、生活習慣を見直しましょう。